SIMロック(SIMロック解除)とは
2015年に施行された「SIMロック解除の義務化」やMVNO(いわゆる“格安スマホ”や“格安SIM”を提供している事業者)の台頭などによって、スマートフォンの新規購入や機種変更などを行う際に、「SIMロック(SIMロック解除)」という言葉を耳にすることも増えてきました。「SIMロックを解除すれば便利になる?」ぐらいで詳細がよくわからない人も多いかもしれませんが、ではSIMロックとはどのような状態で、SIMロック解除を行うと何が可能になるのでしょうか。
SIMロック(SIMロック解除)とは何なのか?
そもそもSIMロックの「SIM」とは「SIMカード(Subscriber Identity Module Card)」を指し、電話番号をはじめユーザーを識別するための情報が記録された小型のICチップのことです。このSIMカードなしでは、スマートフォンや携帯電話で基本的には通話や通信を利用できません。
SIMカードの規格はドコモやau、ソフトバンクといった各キャリアで共通ですが、特定のキャリアで契約したSIMカードは、そのキャリアで扱っている端末でしか使用できないのが原則でした。こうしたひとつのキャリアでのみSIMカードが有効となるよう制限した状態を「SIMロック」と言い、その制限を外し、ユーザーが契約した以外の通信事業者を利用できる状態にすることを「SIMロック解除」と呼びます。
SIMロック(SIMロック解除)とSIMフリーの違いは?
SIMロック解除と似たような言葉に「SIMフリー」というものがあり、こちらは2014年にAppleが初めてSIMフリーiPhoneを発売したことで注目を集めました。両者は大枠では同じようなものですが、厳密には違います。
まず、SIMロック解除とは大手キャリアで契約していた端末を他社のSIMでも利用できるよう制限を外すことですが、対してSIMフリーは“端末を購入した時点でロック自体がかかっていない”ことを意味します。
結果として、SIMロック解除した端末とSIMフリー端末は任意の他社のSIMカードを使えるという点では同じものですが、SIMロック解除した端末は、決められた契約期間が経過後、使用しているSIMカードのロック解除を行い、さらに新たなSIMカードを契約するという2段階の作業が必要となります。
SIMロック解除することで何が変わる?
SIMロック解除する最大のメリットは、大手キャリアが販売しているスマホやタブレットをMVNOが提供するリーズナブルなSIMで利用できることです。特定の事業者に限らず料金プランを選択できる上、価格面以外に、通信速度や安定性、インターネットや新電力とのセットプラントといった付加価値からも検討でき、ユーザー側の選択肢が格段に増えます。
また、海外への出張や旅行の際、わざわざ現地で他のスマホを入手せずとも、SIMロック解除した端末を持ってさえいれば、安価な現地事業者のプリペイドSIMカードを利用して通信を行うという使い方も可能です。
ただし注意事項として、SIMロック解除を行った場合、キャリアメールなど別途契約を行うことで利用し続けられる機能もありますが、基本的には各キャリアが提供している独自サービスやアプリは使えなくなります。大切なデータ類はSIMロック解除前にバックアップしておくことをオススメします。
ほかにも、他キャリアのSIMカードを挿すと、キャリアに割り当てられている周波数帯の関係で、Androidスマホなどでは利用が制限されるケースも出てきます。端末と周波数帯に関しては各キャリアの公式サイトで事前に確認しておきましょう。
SIMロック解除の方法は?
では、SIMロック解除するには具体的にどうすればいいのでしょうか。SIMロック解除は現在契約しているキャリアによって必要な条件や手続き方法が異なりますが、基本的には「端末購入から180日が経過」した場合にSIMロック解除できます(※2017年1月現在)。
ただし、ドコモの場合、一度SIMロック解除をしたことがある回線で解除後6カ月が経過していれば、端末購入から半年が経過していなくてもSIMロック解除が可能など、キャリアごとに細かい条件が異なりますので、公式サイトなどで確認してください。
なお、SIMロック解除できる端末は、「2015年5月以降に発売された端末」か「それ以前に発売されSIMロック解除機能を搭載した端末」のいずれか、ということが前提となることもお忘れなく。
実際にSIMロック解除の手続きを行うには、キャリアショップに条件を満たした端末を持ち込むか、「My docomo(PC版)」「お客さまサポート」(au)「My SoftBank」などオンラインからも申し込むかになります(※ドコモは電話でも可能)。ウェブからSIMロック解除した場合の手数料は無料で、ショップで行う場合は3,000円(税込 円)(3社共通)の事務手数料が必要となります。
具体的な手順に関してはオンラインならナビでお知らせ、ショップならスタッフが対応してくれますので詳細は省きますが、本人確認書類などが必要になるので忘れず準備しておきましょう。
SIMロック解除できたら、iPhoneなら他社のSIMカードを事前に用意しておけば、その場で端末に差し込めばすぐに利用が可能です。Androidスマホの場合は、端末側で解除作業を行った後に他社のSIMカードを差し込むことになります(※手順についてはキャリアサイトなどを参照)。
SIMロック解除はどんな人に向いているか?
SIMロック解除を行う主な目的としては、料金プランが大手キャリアと比較してリーズナブルなケースが多いMVNOへ乗り換え、月々の通信料金を安くしたいということではないでしょうか。もちろん利用料金が割安というのは格安スマホの強みではありますが、現在ではサービス面も大手キャリアに引けを取らないMVNOも増えてきています。
たとえば「NifMo」であれば、月額1,300円(税抜)(税込 円)で使える国内かけ放題のIP電話サービス(アプリ)「NifMoでんわ」という定額通話サービスをはじめ、データ通信プランにおける「データ繰り越しサービス」など、MVNO全体を通してサービス向上が図られています。さらに、MVNOが提供する端末のスペックも上がってきており、キャリアにこだわりがないようなら“安くて使い勝手がいい”格安スマホや格安SIMは、選択肢として大きいと言えるのではないでしょうか。
もちろん、NifMoほか大半のMVNOが「MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ)」にも対応していますから、番号が変わってしまう心配もありません。大手キャリアには“2年縛り”と呼ばれる長期契約がありますが、ちょうど更新時期に当たるような人や、キャリアメールを常用していない人、頻繁に海外へ行くことがあるといったような人は、一度SIMロック解除を考えてみるのもいいかもしれません。
※本記事は2018年10月時点の情報です。