ROM/RAMとは
パソコンやスマートフォンには、半導体メモリの一種である「ROM(ロム)」や「RAM(ラム)」が記憶装置として使われています。ROMとRAMにはどのような違いがあり、それぞれどんな種類のものがあるのでしょうか。
ROM/RAMとは何なのか?
ROMは「Read Only Memory」、RAMは「Random Access Memory」の略で、ともにデータを記憶保持する役割をもつ半導体回路などを用いた記憶素子、または半導体回路を電気的に制御するなどしてデータの記憶を行う記憶装置の一種です。主にパソコンなどコンピュータに使用されています。
ただし、日本のAndroidスマートフォンなどでは、ROMにもRAMにも容量が記されているケースがあるなど、PCとスマホではその意味合いが異なっています。詳しくは後述します。
ROMとRAMの違いは?
ROMとRAMの大きな違いは、「不揮発性」か「揮発性」かというところにあります。不揮発性とは「電源を切っても記憶内容を保持する性質」のこと、揮発性とは「電源を切ると記憶内容が失われる性質」のことです。
ROMは不揮発性で、主に読み出し専用の半導体記憶装置(半導体メモリ)のことを指します。製造時に1回だけデータを書き込むことができ、利用時に書き込まれたデータの読み出しのみが可能となるもので、書き換えられては困るような情報を記憶させることに向いています。
現在は、追記や書き換えができる「PROM(Programmable ROM)」も登場しており、もともとの読み出し専用半導体メモリは「マスクROM」と呼ばれています。また、「CD-ROM」や「DVD-ROM」など、半導体メモリ以外の読み出し専用記憶媒体を指してROMと呼ぶこともあります。
一方のRAMは揮発性で、主にデータの消去や書き換えが可能な半導体メモリのことを指します。RAMは必要なデータに直接アクセスし(ランダムアクセス)、高速で動作します。また、装置内のデータは記憶されている場所によらず、等しい時間で読み書きすることができます。現代のコンピュータのほとんどは、半導体メモリを用いたRAMを主記憶装置(メインメモリ)として使っており、そこからメインメモリのことをRAMと呼ぶ場合もあります。
ROMの種類
ROMの種類は、上で触れた読み出し専用のマスクROMと追記や書き換えが可能なPROMの2つに分けることができ、PROMはさらに以下の4つに分類することができます。
- OTP-ROM(One Time Programmable-ROM)
1回だけ書き込みが可能。 - UV-EPROM(Ultra Violet-Erasable Programmable ROM)
紫外線を照射することで記憶内容の消去できるROMで、消去後は専用の書き込み機器を使って再書き込みが可能。 - EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)
電気信号で記憶内容を消去できるROMで、消去後は専用の書き込み機器を使って再書き込みが可能。 - フラッシュメモリ(フラッシュROM、フラッシュEEPROMとも)
EEPROMの一種。ブロック単位でデータを消去できます。専用の書き込み機器は不要で、データの書き換えが容易に行えることなどから、現在ではPROMの主流となっています。
フラッシュメモリには、NOR型とNAND型の2種類があります。読み込み速度が速いNOR型に対し、NAND型は書き込み速度が速く大容量化しやすいのが特徴で、メモリーカードやUSBメモリなど補助記憶装置としてパッケージ化された商品のほか、スマートフォンの内蔵ストレージなど携帯端末にも使用されています。
RAMの種類
RAMの種類は大別すると、高価で回路が複雑な「SRAM(Static RAM)」と、安価で大容量が実現でき、回路が単純、SRAMでは不要な記憶保持のための再書き込み(リフレッシュ動作)を一定時間ごとに行う必要がある「DRAM(Dynamic RAM)」の2つに分けられます。現在、ほぼすべてのコンピュータには、メインメモリにDRAMが使われている状況です。
RAMの種類はこの2つのほか、FeRAM、MRAM、ReRAM、PRAMといったものもあります。またSRAM、DRAMともいくつか種類があり、さらに細かく分類することができます。
AndroidにおけるROMとRAM
前述のとおり、ROMとは「不揮発性の読み出し専用半導体メモリ」であるはずが、AndroidスマートフォンにおいてのROMは、パソコンでいうところの「ハードディスクドライブ(HDD)」や「ソリッドステートドライブ(SSD)」と同じような働きをする、NAND型フラッシュメモリを用いた内蔵ストレージを意味します。
内蔵ストレージにはアプリや写真のデータなどが保存されますので、AndroidスマートフォンではROMの容量が大きいほど、たくさんのデータが保存できるということになります。
一方、RAMの意味は、Androidスマートフォンにおいてもパソコンと変わりません。RAMは、容量が大きいほど動作がスムーズにいく傾向にあります。スマートフォンのRAMは、数年前まで1GBが主流でした。端末の高機能化がいっそう進んでいる近ごろでは、1GBのものはあまり見かけなくなり、2~3GBの機種が中心となっています。4GBのRAMを搭載したものも登場し、この先スマートフォンの技術の進化とともに、RAMのさらなる大容量化が予想されます。