MVNOとは
ここ最近、なにかと話題に上ることが多い「MVNO」という言葉ですが、スマートフォンに関係したものということはご存じの方も多いと思います。また、なかにはMVNOが格安スマホを指すものと思っている人もいるのではないでしょうか。実は使ってはいるけどMVNOがよく分からないという方も多いのでは?
MVNOとは何なのか?
MVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator」を略したもので、日本語に訳すと「仮想移動体通信事業者」となります。そう説明されてもいまいちピンとこないかもしれませんが、簡単にいってしまえば、携帯電話などの無線通信基盤をほかの通信事業者から借り受け、独自のサービスを付加して提供している事業者のこと。ちなみに、無線通信基盤とは、スマートフォンなどに電波を送るためのものです。
2001年に国内初のMVNOが登場して以降、今では数多くの事業者がありますが、その多くが携帯電話会社との直接契約よりも低価格な通信サービスを提供していることから、MVNOが「格安SIM」や「格安スマホ」という意味合いで使われるケースが多いようです。
MVNOの現状は?
MVNOはなぜ誕生したのでしょうか。無線通信サービスの免許を受けられるのは日本に限らず数社となっていますが、それは無線通信で利用できる電波の帯域には限りがあることが要因。つまり、無線通信サービスの免許を受けていない企業が新たに無線通信サービスに参入するには、許認可を受けた事業者の設備を借り受けることが必要となり、そういった事情からMVNOが生まれました。
日本ではNIFTYの「NifMo」をはじめ、インターネットプロバイダやパソコンメーカーなどを中心にMVNOが展開してきましたが、最近ではTSUTAYAや日本郵便といった事業者も続々とMVNOへ参入しています。
多くの企業がそれぞれの特色を生かしたサービス内容や料金プランなどを提供しているため、ユーザーとしては幅広い選択肢の中から自分に合ったものを選べるようになってきています。
キャリアと比べMVNOの品質は?
スマートフォンでMVNOを使うには、サービスを提供する事業者と契約し、SIMカードを手に入れる必要がありますが、この時、どの通信会社のSIMカードでも利用できる「SIMフリー端末」であることがベストです。
ただし、国内のMVNO事業者の多くが、ドコモの3G通信「FOMA」と、LTE通信「Xi」という回線を借り受けてサービスを提供しています。これらの規格に対応したSIMフリー端末や、SIMロック端末でもNTTドコモの端末であれば、MVNOが提供するサービスを原則的に利用できることになります。
MVNOだから3大キャリアなどと比べて品質が劣るのではと思う人もいるかもしれませんが、そんなことは決してなく、むしろキャリアの通信網を利用したサービスであるため、全国に広く敷設された高品質なネットワークを利用することができるのです。つまり、低価格で運用できるMVNOであっても、その品質はキャリアとは変わらないと言えます。
MVNOならスマートフォンを安く使える?
スマートフォン利用者なら、1カ月あたりの利用料金を少しでも安くしたいと思うもの。NifMoなどMVNOのサービスであれば、キャリアと同等の品質で使用しながらも、リーズナブルな料金で利用することができます。大手キャリアが標準的なプランを使った場合は月額6,000~8,000円なのに比べ、MVNOは月額の基本料金が1,000~2,000円程度が多く、通話を含めても3,000~4,000円と、3大キャリアなどよりもかなり安くサービスの利用が可能です。
選べるサービスもデータ通信のプランだけでなく、最近では音声通話にも対応しているものも増えてきていて、メインの通信機器としても十分活躍してくれます。また、MVNOの中にはNifMoのようにスマートフォン端末とSIMカードがセットになったものや、SIMカードのみの提供が選べる場合があるほか、今使っている電話番号をそのまま持って行けるMNPに対応していたりと、ますます選択の幅が広がっています。
MVNOでできること・できないことは?
低価格で快適に利用できるMVNOのサービスでは、契約内容にもよりますが、NifMoを例に取れば、「電話」「インターネット閲覧」「アプリ(※SMS認証が必要な場合は対応プランのみ)」「テザリング」「緊急通報」といった、基本的な機能は利用できます。
3大キャリアとの一番の違いは「@docomo.ne.jp」「i.softbank.jp」「ezweb.ne.jp」など、携帯電話会社のアドレスが使えないこと。NifMo利用者は@niftyメールのアドレスが利用できるほか、Yahoo!メールや、Gmailなど無料のメールサービスも利用が可能です。最近ではLINEなどを利用する人が多いこともあり、キャリアメールが使えなくてもそれほど困るような状況はないかもしれません。
またおサイフケータイなどの決済機能に関しては、動作確認が取れているキャリア端末とMVNOが提供するSIMカードであれば、大半のおサイフケータイ機能を利用することができます。もちろん、端末自体が機能に対応したものであることに限ります。
3大キャリアではポピュラーな家族割をはじめとした割引サービスも似たようなものを提供している事業者もありますが、基本的には実施していないところが多いようです。ただし、NifMoであればプランの組み合わせが自由で、実際に使う分だけに見直すことにより月額料金が節約できることもあります。
低価格を追求していけば、さまざまなサービスがあるMVNOですが、設定や使用方法、故障時などのサポート体制を考えれば、NifMoをはじめ知名度があったり、周りに利用者が多いMVNO事業者を選ぶほうが安心だと言えます。