IP電話とは
長らく自宅の電話として活躍してきた一般加入電話、そして今では1人1台ならぬ2台持ちの人も増えてくるなど、携帯電話やスマートフォンは生活には欠かせないアイテムとなりました。いずれも皆さんお分かりの通り電話に分類される機器ですが、近頃では「IP電話」という単語もよく聞かれるようになってきました。このIP電話とは、一体どのような電話なのでしょうか。
IP電話とは何なのか?
IP電話とは、スマートフォンなどのような端末のことを指すのではなく、通話音声をデータ化しインターネット上でやり取りする電話サービスのことをいいます。この技術はVoIPと呼ばれ、インターネットで利用されるパケット通信プロトコル・IP(=Internet Protocol)を語源にIP電話と呼ばれるようになりました。
ADSLでのインターネット接続とともに広く普及したので、プロバイダー契約にIP電話サービスを付随させている方も多いのではないでしょうか。“無料通話”のキーワードでよく耳にするLINEやSkypeなども、広い意味ではIP電話に含まれます。
IP電話のメリット・デメリットは?
IP電話のメリットは、やはり通話料金の安さです。NTTなど既存の電話網を使わないため専用の大規模な設備も必要なく、設備コストがかからないことから割安な通話料金を設定できるのです。料金は各サービスによって異なりますが、基本的に「固定電話が相手であれば、全国どこへでもNTTの市内通話料金とほぼ同額でかけられる」と考えても差し支えはありません。単身赴任や遠距離恋愛など遠方との通話が必須な家庭には、とてもありがたいサービスだと言えます。
低料金は固定電話が対象なので、業務ユースにも多用されています。また、@niftyをはじめ多くのプロバイダーでは、同じIP電話の利用者同士が無料で通話できるサービスも提供しているので、賢く利用すれば電話料金を大幅に抑えられるはずです。
デメリットとしては、サービスによっては110番や119番などの緊急通話には利用できない場合もあったりする点です。通話品質に関しても課題はゼロではないですが、通話品質が問題視される際は、利用しているインターネット回線や利用状況などに問題があるケースが大半です。通常のインターネット接続に遅延や切断などの問題がなければ、IP電話も問題なく使えると思って大丈夫。ちなみに、110番の場合は直通電話(03-3501-0110)にかけることで、IP電話からでも通報が可能です。
LINEなどもIP電話?
従来のIP電話は「固定電話同士の通話」というイメージでしたが、最近は“電話アプリ”を利用することで、スマートフォンやタブレット端末からもIP電話が利用可能になりました。これらのアプリを利用すれば、データ通信しかできない端末からでも、インターネットに接続さえできれば音声通話が可能になります。IP電話をかけるだけならば、iPod touchをiPhoneの代わりにすることもできるわけです(ただし、電話番号がないので着信はできません)。
次世代ローコストスマホ「NifMo」などのMVNO端末でも、LINEやSkypeなどのアプリを入れればIP電話機能を使うことができ、相手が同じアプリを使っているのであれば、お互いに発着信もできます。うまく活用すれば通話料金の節約も可能です。
注目のIP電話サービスは?
IP電話は「格安(もしくは無料)で通話ができる」ということで人気が高まってきましたが、サービスによっては相手のスマートフォンなどには非通知や通知不可と表示されてしまうウィークポイントも。IP電話ではないが電話番号に特定の番号を付けて発信することで通話料が割引される「回線交換型」の通話サービスもあり、こちらは相手に自分の電話番号が通知されるというメリットがあります。
IP電話サービスの多くは1回の通話時間に対して料金が加算されていくものが多く、格安な料金で通話可能といっても、長電話が多いユーザーはそれなりの利用料金となっている人が多いことでしょう。
これまではIP電話サービスで通話し放題のようなプランを用意している事業者はありませんでしたが、2015年夏からはNifMo用のIP電話アプリ「NifMoでんわ」で通話定額サービスが開始される見込みとなっていて、通話時間が長めのユーザーであれば注目したいところです。
携帯電話では今や当たり前となった通話定額サービスですが、ローコスト通信が可能なMVNO市場では、残念ながら提供されてきませんでした。この「NifMoでんわ」では、「通話相手が固定電話でも携帯電話でも無料(定額)」であり、IP電話を使うMVNOとしては初のサービスであるため大きな話題を呼んでいるようです。
IP電話は低料金での通話が可能です。さらに「NifMoでんわ」のような定額料金サービスが加われば、次世代の電話サービスとして利用範囲が大幅に広がるでしょう。