NifMo事例紹介株式会社ABEJA（アベジャ）様

私どもは、「イノベーションで世界を変える」という企業理念のもと、創業当初から人工知能、その中でもディープラーニングと呼ばれる技術に注力した事業を展開しています。主に人工知能を用いたデータ分析プラットフォームの開発・設置を行っており、その中でリテール向けの事業として展開しているのが「ABEJA Platform for Retail」です。

ABEJA Platform for Retailは人工知能を活用した店舗解析ツールで、実店舗にカメラやセンサーなどのデバイスを設置し、来店属性や回遊状況といった購入前の顧客行動を可視化します。来店人数や購入価格などの数字の情報だけでなく、画像データのようなファジーな情報も含めて統合的に扱えるのが特徴です。

それらの要素にPOSや天気といった既存データを組み合わせることで、店舗の課題や取るべき施策を導き出し、勘と経験に基づいた店舗経営を脱却し、データに基づく科学的な小売経営の実現を支援していければと考えています。

データ類のやり取りやレポートの配信など、サービスはすべてクラウドで展開しており、現在テストとして、NifMoのSIMカード＋M2Mルーターの構成で構築した環境を利用して、デバイスで取得したデータをABEJA Platform for Retailへ送っています。

IoT機器の導入には、「設置方法」、「電源」、「通信」という3つの課題があります。当社ではカメラ画像のクラウド解析を基本としているため、光回線を前提にしておりました。既設の光回線を使うこともあるのですが、先方のネットワーク・セキュリティや社内コンプライアンスなどによっては使えないことがあります。光回線がない場合は回線を引くことになるのですが、開通工事の関係ですぐには運用できないこともあります。

一方で昨今、エッジ側、デバイス内での解析を行うにあたって通信量の飛躍的な低減が可能となってきており、必ずしも有線での接続は必要なくなってきています。それならば小売店様のハードルを下げて、より容易に導入できることを目指そうとMVNOの利用を検討しました。複数社のものを検討した結果、最終的に当社向けとして柔軟なプライシング／利用プランをご用意いただけたことが決め手となりました。

システムが利用する通信量自体はそれほど多くはないので、低容量を前提とするSIMの利用も検討したのですが、通信速度が遅いといろいろなトラブルが起きる可能性があるほか、設置時など一時的に高負荷通信容量を要求する当社のサービスでは実用に難が出てしまう場面もありました。NifMoはLTEが入る場所であれば十分な通信速度であったことも、決め手のひとつです。

花き産業のプラットフォームビジネスを展開する株式会社exflora（エクスフローラ）様から、商店街の中に実店舗「ハナノバ」を出店するにあたりお声がけいただきました。

実店舗では入店人数と店前の通行人数などを中心に見ているのですが、特に店前の人の流れは午前と午後では顕著な違いがあることが分かりました。時間帯による課題がABEJA Platform for Retailにより鮮明になってきましたので、データに基づき、ディスプレイの向きや表に展示する花を替えるなど、どのように見せるのが効果的なのかをご提案し、店舗の方にご検討いただいています。

ABEJA Platformは小売以外にも製造業など多くの産業に広がり始めています。現在は既存のデータをAIに分析させての利用が多いですが、今後はIoT機器を追加しての新しいデータも加えた運用が増えてくると確信しています。

そうした中で、今後は、大量の解析データをフィードバックするためのプラットフォームとしても位置づけ、さまざまな自動化をすすめる際に、LTEのような、どこでもつながる無線技術が重要だと考えています。そこで、ニフティさんと協力してカメラなどのデバイスとNifMoのSIMをうまくパッケージ化して展開できれば、設置期間や導入コストなどもトータルで下げることができると考えています。最終的には導入を決めていただいた店舗に、その場ですぐに設置できるようなところまで育てられればと思っています。